【施工実績】雑居ビルにおける排煙設備の点検作業

火災が起きた際、もっとも大きな危険のひとつが「煙」です。煙は視界を奪い、呼吸を困難にし、パニックを引き起こす原因となります。その煙を屋外に排出する役割を担うのが排煙設備です。

建物内に設置された排煙口(天井にある窓のようなもの)や屋上の排煙ファンを使って、発生した煙を速やかに外に逃がす仕組みです。

今回のビルの屋上排気ファン

今回のビルの屋上排煙ファン

今回、私たちは23区内にある雑居ビルで、この排煙設備の点検を行いました。点検では、実際にボタンを押して排煙口が開くか、風がしっかり流れているかを確認しました。

普段は目にすることのない設備ですが、いざという時に人命を守るために欠かせない存在です。


排煙設備点検の実際の流れ

排煙口を開けるボタン

排煙口を開けるボタン

点検は「排煙口の確認」と「屋上ファンの確認」の大きく二つに分かれます。

まずは室内のボタンを操作し、天井の排煙口が正常に開閉するかを確かめます。その際、開口部の風速を測定し、煙を排出できるだけの性能があるかもチェックします。

続いて、屋上に設置された排煙ファンを稼働させ、風速を計測します。

排煙口からファンまでのダクトは密閉構造のため、操作の順序を間違えると大きなトラブルにつながります。
例えば、排煙口を閉じたままファンを動かすと、ダクトが強い吸引で潰れてしまう恐れがあります。
そのため、「排煙口を開ける→ファンを回す→止めてから排煙口を閉める」という流れを守ることが非常に重要です。

排煙口を開けた時

排煙口を開けた時

排煙口を閉めた時

排煙口を閉めた時


連携が欠かせない点検作業

排煙設備の点検は、一人だけでは進められません。
作業員同士がトランシーバーや電話で「排煙口を開けました」「ファンを回します」と声を掛け合い、確認しながら進めます。

排煙ファン

屋上での排煙ファン制御

また、屋上の操作盤だけでなく、建物の防災センターにある制御盤からも動作を確認する必要があります。
これは、実際に火災が発生した場合に本当に作動するかを検証するためです。

今回の現場では防災設備点検も同時に行われていたため、防災設備業者とも密に連携しました。

さらに、各フロアを利用されている会社様の協力も欠かせません。点検のために室内に入る必要があるため、事前に許可をいただき、利用時間に支障が出ないように配慮しながら進めました。

このように多方面との調整をしながら作業を行うのが特徴です。


点検を通じて見えたこと

今回の点検を通じて改めて感じたのは、「設備は正しく運用されて初めて意味を持つ」ということです。

排煙設備は普段はほとんど使われないため、劣化や不具合に気付きにくい設備でもあります。
しかし、いざ火災が発生した際には必ず確実に作動し、人命を守らなければなりません。
そのため、定期的な点検と、正しい手順に基づく運用確認がとても大切です。

A.t.oathでは、建物を利用する皆さまに安心していただけるよう、今後も安全性を第一に考えた点検・維持管理を行ってまいります。
排煙設備は「普段は意識されないが、いざという時に命を守る要」となるもの。
私たちはその使命を胸に、日々の業務に取り組んでいます。

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